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Ⅴ. 医科診療報酬点数に関する留意事項
4. 検査・画像診断・病理診断
検査・画像診断・病理診断・・・
● 各種の検査は、必要な検査項目を選択し、段階を踏んで、必要最小限の回数で実施する。
(1) 実施方針について
・ 各種の検査は診療上必要があると認められる場合に行う(療養担当規則の規定)。
・ 以下の検査については請求不可
: 健康診断を目的とした検査
: 結果が治療に反映されない研究を目的とした検査
・ 検査は、診療上の必要性を十分考慮した上で、段階を踏んで必要最小限に行う。
(2) 検査の算定上の留意点
・ それぞれの検査項目によっては、対象となる患者の状態等が算定要件として定められている。また、算定可能な検査の組み合わせが限定されていることに注意する。
・ 診療録に記載すべき事項が定められている検索項目があることに注意する。
[算定要件の例]
① 検体検査
・ 尿沈渣(鏡検法又はフローサイトメトリー法)は、尿中一般物質定性判定量検査等で異常
所見がある場合、又は診察の結果から実施の必要があると考えられる場合が対象。
・ プロトロンビン時間とトロンボテストを同時に測定した場合は、主たるもののみ算定。
・ ヘモグロビンA1c、グリコアルブミン、1,5-アンヒドロ-D-グルシトールのうちいずれかを同一月
中に併せて2回以上実施した場合は、月1回に限り主たるもののみ算定。
② 呼吸心拍監視
・ 対象患者は、重篤な心機能障害、呼吸機能障害を有する(おそれのある)患者に限定。
・ 観察した呼吸曲線、心電曲線、心拍数のそれぞれの観察結果の要点を診療録に記載(単に
モニター装置の装着のみで算定できるものではない)
③ 静脈血採取、動脈血採取
・ 観血的動脈圧測定用カテーテル、人工腎臓回路、心カテーテル検査用カテーテル回路など、
血液回路から採取した場合は算定不可。
(3) 不適切な検査の具体例
① 不適切なセット検査
・ セット検査(入院時セット、術前(後)セット、〇〇病セットなど)を、患者ごとに必要な項目を
吟味せず画一的に実施。
・ スクリーニング的に多項目(出血凝固線溶系検査、免疫系検査、甲状腺機能検査系検査等)
を画一的に実施。
② 検査の重複
・ 炎症反応を調べるために、CRP、ESRを画一的に実施。
・ 甲状腺機能を調べるために、FT3とT3(FT4とT4)を画一的に併施。
③ 必要性の乏しいと思われる検査
・ DICの診断・治療に反映されないTAT、D-Dダイマー、フィブリンモノマー複合体、プラスミン、
α2プラスミンインヒビター・プラスミン複合体等
・ 入院、転科、転棟の際、血液型、感染症検査等をその都度実施。
・ 診療に不必要な検査項目を、単なる学術研究目的で定期的に実施。
(4) 画像診断の算定上の留意点
それぞれの画像診断項目によっては、対象となる患者の状態等が算定要件として定められているほか、算定可能な検査の組み合わせが限定されていることに留意する。
[算定要件の例]
① 画像診断管理加算1・2
・ 放射線診断部門からの報告文書を診療録に添付する。
・ 施設基準として届け出ている専ら画像診断を担当する放射線科医師以外の医師の読影では
算定不可。
・ 画像診断管理加算2を算定する場合は、医療機関内で行われる全ての核医学撮影、断層
撮影(CT、MRI)の8割以上について、撮影翌診療日までに報告文書が作成されている必要が
ある。
② 以下の撮影について
ポジトロン断層撮影
ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影
ポジトロン撮影・核磁気共鳴コンピュータ断層複合撮影
乳房用ポジトロン撮影
・ 保険診療として実施するためには、算定対象となる疾患や具体的病態が、算定要件として
定められている。
: 算定対象となる疾患
てんかん
心疾患
悪性腫瘍(早期胃癌を除き、悪性リンパ腫を含む。乳がん等)
: 具体的病態
他の検査
画像診断により病気診断が確定できない等
(5) 病理診断の算定上の留意点
① 病理組織標本作成
・ 原則として1臓器ごとに所定の点数を算定できるが、複数臓器でも算定上は1臓器として
数える組み合わせがある(胃と十二指腸、気管支と肺臓 等)。
・ リンパ節については所属リンパ節ごとに1臓器として数える。
・ 左右対称の臓器は1臓器として数える。
② 病理診断料
・ 病理診断を専ら担当する医師は、検体検査管理加算(Ⅲ)(Ⅳ)の施設基準である「臨床検査
を専ら担当する常勤の医師」を兼ねることは出来ない。
③ 病理診断管理加算
・ 病理診断料を標榜していることを保健所に届けている保険医療機関において、病理診断を
専ら担当する常勤の医師が病理診断を行い、その結果を文書により報告した場合に算定。