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Ⅴ. 医科診療報酬点数に関する留意事項
2. 基本診療料等
基本診療料等・・・
● 外来患者が医療機関に来院しても、初診料・再診料(外来診療料)等が請求できない場合がある。
● 入院基本料等を算定するための要件があることに留意する。
(1) 初診料・再診料(外来診療料)
・ 初診料・再診料は、保健医療機関における初診または再診に対する基本的な費用について評価するもの。
・ 初診料・・・病院・診療所とも同一。
・ 再診料・外来診療料・・・許可病床数により分類される。
(2) 初診料・再診料の算定時の留意点
① 同一日であるか否かに関わらず、一連の行為と見なされる場合には、別に算定できない。
[一連の行為と見なされる場合がある例]
・ 初診・再診の際に行った検査、画像診断の結果のみを聞きに来た場合
・ 往診等の後に、薬剤のみを取りに来た場合
・ 初診・再診の際に検査、画像診断、手術等の必要を認めたが、一旦帰宅し、後日に検査、
画像診断、手術等を受けに来た場合
② 同一日に、他の傷病について、新たに別の診療料を初診として受診した場合は、2つ目の
診療科に限り初診料の1/2を算定できる。
[2つ目の初診料の算定が不可能な例]
・ 糖尿病で継続管理中の患者が、糖尿病性網膜症の疑いで眼科を受診する場合
・ 1つ目と2つ目の診療科の医師が同一の場合
・ 患者が専門性の高い診療科を受診できるよう医療機関が設置した総合外来等を受診後、
新たに別の診療科を受診した場合
③ 患者が医療機関の事情によらず、自らの意思により、別の診療科を再診として受診した
場合には、2科目の診療料に限り再診料(外来診療料)の約1/2を算定できる。
④ 電話再診は、患者の病状の変化に応じ、医師の指示を受ける必要がある場合に限り
再診料(外来診療料は除く)が算定できる。電話再診の内容は診療録に必ず記載。
[電話再診料を算定が不可能な例]
・ 電話等を通じた指示が、当日の初再診に付随する一連の行為である場合。
・ 単なる定期的な病状報告を受ける内容のものである場合。
⑤ 外来リハビリテーション診療料及び外来放射線照射療法を算定した場合には、規定されて
いる日数の間は、リハビリテーションや放射線治療に係る再診料(外来診療料)は算定でき
ない。
(3) 入院基本料・特定入院料
・ 基本的な入院医療の体制を総合的に評価するもの。
・ 以下により分類
: 医療機関の機能(病院、有床診療所、特定機能病院)
: 病棟類型別(一般病棟、療養病棟、結核病棟、精神病棟 等)
・ 各基本料は、平均在院日数・人員配置等によりさらに分類される。
・ 入院基本料の一部と特定入院料については、請求の簡素化等の観点から、処置・検査等の点数が包括されている場合もある。
・ 特定入院料の中でも
救命救急入院料
特定集中治療室管理料
新生児特定集中治療室管理料1
小児特定集中治療室管理料 等
は、専任の医師が常時治療室内に勤務していなければならない。
また、当該治療室勤務の看護師は、当該治療室に勤務している時間帯は、当該治療室以外での夜勤を併せて行ってはならない。
(4) 入院基本料等の算定上の留意点
入院基本料等の算定のために、厚生労働大臣の定める5つの医療提供体制を恒常的に構築しておく必要がある。
[各体制の主な基準]
① 入院診療計画に関する基準
・ 「入院診療計画書」の策定・・・医師、看護師、その他の関係職種で作成
・ 患者に対し、「入院診療計画書」に沿って診療計画の説明を行う。
・ 「入院診療計画書」の原本は患者に交付。写しを診療録に貼付。
② 院内感染防止対策に関する基準
・ 院内感染対策委員会の設置
・ 感染情報レポートの作成
・ 職員に対する手洗い励行の徹底
・ 必要な消毒器材の設置 等
※これに加え、一定の要件を満たす院内の感染防止対策が実施されている場合については、感染防止対策加算1・2として、別途評価される。
③ 医療安全管理体制に関する基準
・ 安全管理指針の策定
・ 医療事故・インシデント報告制度の整備
・ 医療安全管理委員会の設置
・ 職員研修の実施 等
※これに加え、一定の要件を満たす医療安全対策が実施されている場合については、医療安全対策加算1・2として、別途評価される。
④ 褥瘡対策に関する基準
・ 褥瘡対策チームの設置(専任の医師、褥瘡看護の臨床経験のある看護職員等で構成)
・ 委員会の定期開催
・ 褥瘡リスクのスクリーニング
・ 褥瘡対策の診療計画の作成・実施・評価(専任の医師、看護職員)
・ 体位分散式マットレスの具備 等
※これに加え、一定の要件を満たす褥瘡対策が実施されている場合については、褥瘡ハイリスク患者ケア加算として、別途評価される。
⑤ 栄養管理体制に関する基準
・ 常勤の管理栄養士(有床診療所では非常勤でも可)1名以上配置
・ 医療従事者が共同して栄養管理を行う体制
・ 栄養管理手順の作成
・ 入院患者の栄養管理について十分な体制
・ 特別な栄養管理の必要性の有無について入院診療計画書に記載(入院時)
・ 特別な栄養管理の必要な患者について
栄養状態の評価
栄養管理計画の策定
栄養管理の実施
定期的な記録・評価・計画の見直し
(看護要員算定の留意事項)
・ 実際に入院患者の看護に当たっている看護要員の数を算定。以下の要員は算定しない。
看護部長等
学校の専任教員
外来勤務
手術室勤務
中央材料室勤務 等
・ 1勤務帯8時間で1日3勤務帯を標準として、月平均1日当たりの要件を満たしている。
例.
7:1の届出50床病棟 3交代制
日勤13人 準夜勤6人 夜勤3人 50×3÷(13+6+3)=6.81
・ 夜勤は2人以上で実施
・ 平均夜勤時間72時間以内(夜勤専従者、夜勤時間数16時間以下の者を除く)
・ 夜勤専従者の夜勤時間数は月当たり概ね144時間以内でなければならない。
(一般病棟の重症度、医療・看護必要度の見直し)
・ 平成26年度改正から急性期病床における患者像ごとの評価の適正化を図るために、7対1入院基本料ならびに10対1入院基本料を算定する病棟においては、「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」が新基準を満たしていなければならない。(平成26年10月から)
(5) 入院中の患者の他医療機関受診
入院医療機関にて、診療を行うことができない専門的な診療が必要な場合に限る。
・ 入院医療機関は、必要な診療情報を文書により提供し、診療録にその写しを添付する(費用は患者の入院している保険医療機関が負担する)。
・ 他医療機関受診日の入院基本料等は減算となる(ただし、DPC算定病院では、医療機関間で合議とし、他医療機関において実施された医療行為を含めて、診断群分類を決定する)。
(6) 入院基本料等の加算
入院療養に関する諸処の医療提供体制が、厚生労働大臣の定める一定の基準を満たす場合については、個々の医療提供体制に応じて、入院基本料に一定点数が加算となる。
[加算の例と主な算定要件]
① 臨床研修病院入院診療加算
・ 研修医の人数や、研修医数に応じた適正な指導医(臨床経験7年以上)の人数について、
医療機関の規模に応じて定められた基準を満たしている。
・ 研修医の診療録の記載について、指導医によって速やかに確認・指導が行われていると
ともに、その指導内容がわかるように指導医自ら診療録に記載・署名している。
② 救急医療管理加算
休日または夜間における救急医療の確保のための診療を行っている医療機関に対する評価をしたものであるが、算定基準が明確でない点があること等を踏まえ、平成26年度改定では算定基準の明確化とともに評価の見直しが行われた。